印刷物を中心に顧客のコミュニケーションのあらゆるニーズに対応することを目指す株式会社第一印刷所は、新潟県新潟市に本社を構える従業員240 名が働く総合印刷会社です。クライアントの期待以上の価値をめざし、プランニングから印刷、配送はもちろん、デジタル、映像、プロモーション、アウトソーシングまで一貫したワンストップサービスで、地元の地域貢献を目指して新しい価値を創りだしています。その第一印刷所が、印刷業界を取り巻く大きな環境変化に対応するため2018 年4 月に導入したのが、ハイデルベルグのピークパフォーマンスモデルであるスピードマスターXL106-8-P ドライスターLED でした。同社は、その導入以来、ハイデルベルグが掲げるPush to Stopフィロソフィーに基づいた完全自動運転印刷の実現と展開を図り、昨年2020 年には世界最高水準の印刷品質を実現しながら、世界の平均OEE が20%台と言われている中、目標としていたOEE31%をはるかに超える37.7%という数字を達成しました。
そして、加速する市場の価値観の多様化に対応するためには生産モデルの革新をさらに進化させ印刷の品質及び生産性と即時性を極めていく事が必要と捉え、2021 年2 月、史上最もインテリジェントで自動化されたハイデルベルグのスピードマスター2020 ジェネレーションを導入しました。導入された機械は、第一印刷所の生産戦略に合わせて独自のカスタマイズが加えられた最新の2020 ジェネレーションのスピードマスターXL106-8-P ドライスターLED で、国内初導入の8 色両面兼用オフセット印刷機となりました。導入について同社の堀一社長は、「コロナ禍ではありますが、さまざまな時代の変化に対応するためにこの印刷機の導入を決定しました。今まで専業分散化していたグループの総合力を強化・再構築し、ビジネスをよりお客様との伴走型にする。それを実現するため、会社にとって、最新の2020 ジェネレーションのスピードマスターはなくてはならない核となる印刷機です。今、私たちは、世界トップレベルの印刷物を提供できるようになりました。そして、高品質のさらに上をいく『高品格のサービス』をお客様に提供することで、究極の目的である、さらなるお客様へのサービスの向上と地域貢献、地域の活性化を実現したいと思っています。」と思いを語りました。
今回導入された印刷機のカスタマイズのひとつが、LED UV 機にもかかわらず装備されたデリバリのパウダー装置です。第一印刷所が、今回の導入で目指したのは印刷工程だけでなく、グループ全体での生産性と全体最適化です。そのために、デリバリでの裏移りやインキの硬化を促す目的ではなく、後工程でのプロセスをよりスムーズにすることを可能にするため、ハイデルベルグ本社の製品担当者とも打ち合わせの上、パウダー装置を装備しました。もうひとつのカスタマイズは、オペレータへの負担軽減や作業性向上に貢献する日本初のドライブサイドのワイドギャラリーです。ギャラリーの幅が広くなったことで、従来は、印刷機から降りて行わなければならなかったUV装置の洗浄等の作業が同じ高さのギャラリー上で可能となったため、予想以上に便利にそして作業効率が飛躍的に向上したとオペレータから高い評価を受けています。
今回の導入の狙いとして同社の小出博信専務は、3 つのポイントを挙げています。「1 つ目は、ワンマンオペレーションの実現です。通常、同様の機械は2名のオペレータが必要ですが、よりインテリジェントで自動化が進んだこの機械であれば、一人でオペレーションが可能であり、確保できた余力の1 名は他の工程に振り分けることができます。そうすることによって、グループ全体の生産性を図れます。2 つ目は、刷版サイズの統一による効率化です。刷版サイズが異なる印刷機との入れ替えでしたので、弊社のすべてのカラー枚葉オフセット印刷機はXL シリーズに、そして刷版サイズが統一されました。これにより、版面設計仕様の統一化・製版工程自動化の実現への難易度を下げることができ、印刷機間での仕事の負荷も平準化され、さらに工程管理が安定することにより後工程の生産性にもつながっています。3つ目は、印刷生産工程全体の再構築です。今まで6台あった全判サイズの印刷機を4台にしました。これにより生まれた新たな工場スペースを再活用して工場内の運搬作業の削減や生産管理の効率化を図り、さらなる少ロット化への生産革新を目指すことができます。」
顧客に一貫したワンストップサービスを提供している第一印刷所が使用しているハイデルベルグの装置は、もちろんオフセット印刷機だけでなく、スタールフォルダー折り機やポーラー断裁機等といった後加工機も含まれます。さらに、装置だけではなく、ハイデルベルグのソフトウェアも生産性向上のために有効に活用している印刷会社のひとつです。ハイデルベルグアシスタントは、インターネットと繋がった機械やソフトウェアから膨大なデータを収集し、生産分析や予知保全に役立てることができるだけではなく、ハイデルベルグeShopからオンラインで印刷資材を購入したり納品書や請求書をダウンロードすることができる便利なIoTツールです。日本では2018年12月に導入されました。日本でもいち早くハイデルベルグアシスタントを導入し、今では日々の業務にかかせないツールとなっていると説明する製造本部プロダクトD'sNET推進室室長の南清人氏によれば、「今では、見ない日はないと言っていいほど使っています。機械のパフォーマンスを見て生産効率をあげるためのPDCAを回すため、また、機械の調子の確認から、サービスコールの予定や、パーツの注文状況やメンテナンスの契約状況の確認等、さまざまな局面で利用しています。ハイデルベルグアシスタントを使う前も、さまざまなデータを収集してグラフを作成して稼働状況を分析する作業はしていましたが、そうした作業が全く不要になりました。ハイデルベルグアシスタントが数か月おきにさまざまな点が改善されて、使い易くなっていく点も気にいっています。まさに、有能なアシスタントとなっています。」と説明します。また、プリネクトアナライズポイントが業務に欠かせないという製造本部製造部部長の仲田春夫氏は、「毎日出社後、最初に見るのがプリネクトのアナライズポイントです。これで、前日に機械がどのように稼働していたかが手に取るように分かります。稼働時間や平均回転数という固定した数字だけではなく、時間経過で稼働状況のデータがグラフで見れることが便利な点だと思います。私だけではなく、オペレータもOEEを印刷機のウォールスクリーンで見ながら互いに切磋琢磨しており、大きなモチベーションになっています。これが工場全体の生産性向上にも繋がっているのだと思います。」と、ほぼ完璧なソフトウェアだとプリネクトのアナライズポイントを称賛しています。
2020 ジェネレーションのスピードマスターXL106-8-P ドライスターLED 導入後の1 か月は、初期稼働であるにもかかわらず2 百万枚を超え、前年の約1.4 倍の生産実績を残しています。「今後は、2 台のスピードマスターXL106 で1.5 倍の安定した生産性を目指します。つまり、2 台から生産された3 台分の生産、見えないXL106 をもう一台手に入れるのです。」と、さらなる生産性向上への意欲を小出専務は笑顔で語りました。
株式会社第一印刷所 本社工場
〒950-0134 新潟県新潟市江南区曙町4-6-18
TEL:025-382-7400
FAX:025-383-1170
https://www.dip.co.jp