株式会社スマートグラフィックスは、現在の地で2019年11月からスタートしたウエマツグループの印刷ファウンドリ(受託製造専門会社)です。同社は印刷通販に特化しており、埼玉県戸田市の生産工場では、スピードマスターSX102 Ver.92 -8-P LED UV + CutStar Gen4含め、印刷機複数台が稼働しています。同社の高い生産性は、機械そのものの性能だけではなく、省人化、自動化による生産工程全体の最適化を目指すスマートファクトリーのビジョンに基づいています。8色両面兼用オフセット印刷機スピードマスターSX102 Version 92の導入は、前準備時間、損紙、印刷速度という3つの要素を極限まで追求していく中で出した答えでした。
スピードマスターSX102は、実績あるSMシリーズの両面印刷技術とピークパフォーマンスクラスで採用された革新技術を融合して誕生した新世代の多色両面兼用印刷機です。刷版サイズ650 x 940 mm (25.6 x 37インチ)を選択することができ、70 x 100フォーマットと比較してプレートコストを最大20%節約することができる利点があります。「紙種を統一し、ロットが2,000~3,000の仕事を扱っている当社工場の特徴を考慮すれば、スピードマスターXL106が導入に最適ではないかと思っていたところでしたが、一方で版サイズがネックになっていました。そんな中、ハイデルベルグがA全サイズのプレートを使用する事が可能だと聞き、SX102 Version 92の導入を決断しました。」と、取締役社長室長 福田佳祐氏は導入の背景を振り返ります。
代表取締役社長 福田浩志氏は、同社が追求する3つの要素について次のように語ります。「印刷通販の仕事は、本当にコストがギリギリの勝負になります。前準備時間、損紙、印刷速度、すべてを極限に追い込まなければいけません。」その一つ目の要素である前準備時間の短縮を可能にしているのは、生産中に色を分光光度計で測定および見当調整するプリネクトインプレスコントロール3と、版交換時間を最大50%削減する完全自動版交換装置オートプレートプロです。福田社長は、「版交換終了後、プリネクトインプレスコントロールがインラインで色合わせをするので、すぐに本生産に入ることができます。タッチポイントが一つ少なくなります。版交換の時間は約3分、そして損紙も大幅に削減されます。」と続けます。本生産に入るまでの損紙は1ジョブあたり約30枚。前準備時間の短縮も数十秒まで突き詰め、印刷機は毎時14,000回転で稼働し続けています。
さらに、福田社長は、「小部数の場合ですが、前準備時間、損紙、印刷速度を突き詰めていけば、シートコストは抑えることができます。唯一のウィークポイントはバリアブル印刷ですが、それを除けば、オンデマンド印刷の一般的な損益分岐点でもオフセットは負けません。」と説明します。
ロールペーパーと枚葉紙のコストを比較した結果、ロールペーパーを使う方が紙のコストも究極に追及できるという判断から、スマートグラフィックスは国内初となるカットスター Gen4 ロールシーターを導入しました。カットスター搭載により、様々なロットで費用対効果の高い競争力のある生産が可能になります。福田室長は、「仕事によりますが、例えば平均300〜400ロットの仕事を中心に運用すれば、カットスターは、とんでもないジョブ数をこなしてくれるのではないか。」と、期待します。
コストを追求しながらも、品質の妥協は一切ありません。福田社長は、ウエマツグループ内のスマートグラフィックスを、高品質の工業製品を生産する工場として位置付けます。芸術的な高品質製品の生産を主とするウエマツの仕事とは別で、ジャパンカラーに準拠した工業製品としての品質はスマートグラフィックスが上だと断言します。
2024年のスピードマスターSX102 Version 92の導入後、スマートグラフィックスは印刷機やポストプレス生産ラインを拡大しながら急成長しています。生産工程にボトルネックが生じないよう、印刷機だけでなく全体を見渡した投資が重要と捉えており、工場のインキのパイピングや、出力された刷版を複数の印刷機毎に振り分ける自動装置の導入を行ないました。スピードマスターSX102 Verion 92の前に導入したパレタイジングシステムもその一つです。製品が梱包された段ボール箱の大きさをセンサーで識別し、出荷先ごとにパレットに積み上げていくシステムは、印刷から納品まで、できるだけ人の手を介さずに作業をすることを目指し導入されました。「必ず誰かがやらなければいけない作業」を排除して、今後もさらに省人化を推し進めて行きたいと語る福田室長は、次のステップとして、印刷機から断裁機への動線の効率化も視野に入れています。
スマートグラフィックスは現在、スケジューリングの自動化に取り組んでおり、福田室長は「これまではスピードマスターSX102 Version 92を含めて、業務の適正化ができていなかったので、この取り組みは非常に大きいと捉えています。これからSX102とカットスターを最大限に活用するためには、例えば、より小ロットの仕事に集中するなど、踏み込んだ運用が必要になると考えています。これにより、他社製の機械の効率も向上するため、SX102だけではなく、工場全体の稼働状況が非常に向上すると思います。」と、今後の挑戦への意気込みを語ります。
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