ハイデルベルグ・ジャパン株式会社(本社:東京都品川区、代表取締役社長:水野秀也)は、平成30年5月、株式会社クイックス(本社:愛知県刈谷市、代表取締役社長:岡本泰氏)のCOMセンター(刈谷市)にPush to Stopをコンセプトとする最新鋭の菊全寸のび判4色両面兼用印刷機スピードマスターXL106-4-Pを納入しました。
クイックスは、今回の導入によって顧客が求めるスピード、品質、納品形態にあわせて、企画から納品まで流れるように作業が進んでゆくノンストップのPush to Stopワークフローを構築する確かな基盤を手に入れました。
クイックスは、愛知県刈谷市に本社を構える「印刷会社」です。1947年創業と印刷業としての歴史は長く、昨年2月には70周年を迎えました。戦後間もない謄写版印刷の時代からデジタル化が進んだ現在まで、長年培ってきた文字組版に関する徹底したこだわりは同社の誇りであり伝統です。
こうしたプロフェッショナルな「情報表現技術」を背景に、同社は「マニュアル」「販売促進」「教育関連」の3分野に向けて印刷会社の枠を超えたサービスを提供しています。
同社の業態を「印刷会社」とあえて「」付きで紹介したのは、同社が今、「印刷業から情報デザイン業へ」と業態変革を積極的に推し進めているからです。今年策定した新中期5か年経営計画「KWIXBRAND2023」では、全社員が実現に向けて取り組むべき明確な目標として掲げられました。
代表取締役社長の岡本泰氏は、「10年前からの取り組みがやっと実を結びはじめ、ここ数年で確かな手応えを感じるようになってきた」と実感しています。たとえばマニュアル制作の仕事では、すでにデータ納めと印刷物の売上げ比率がほぼ半々になっているそうです。しかもテクニカルライティングからデータベース化、多言語化、マルチメディア展開まで、技術文書作成に関する業務全体を代行するアウトソーシング先として顧客から確かな信頼を得ています。また製品の設計開発段階から手伝うために複数のクライアントに社員を出向させるなど、顧客企業と一体となったビジネスを展開しています。
「販売促進」分野ではWEBサイトやスマホ、タブレット向けの「コンテンツマネジメントシステム(CMS)」の制作が主で、印刷物はアウトプットのごく一部でしかありません。情報を価値あるカタチに変えること、それが同社の考える情報デザイン業なのです。
岡本社長は自社のサービスをワンストップサービスではなく、ノンストップサービスだと定義しています。
「お客様の走るスピードに追いついて一緒になって走りながら、自分たちの機能をお客様の企業活動にあわせて提供する、そしてコンテンツデータを資産化することでお客様の売上アップやコストダウンに貢献してゆく」ことを目指しています。
やり直しが簡単にはきかない「印刷」という機能を内包した情報表現のプロ集団であることを誇りに、顧客業務を代行するコンテンツビジネスを展開しているのです。こうした同社の方向性はハイデルベルグが提唱するPush to Stopと呼応します。
Push to Stopは「印刷会社が他メディアに打って出てゆくときに必要になる」と岡本社長は次のように指摘します。
「単に印刷工程を改善するだけでは、またどこかでボトルネックが発生します。ワークフローの改善はコスト削減だけではなく、品質向上とミス削減を目的として行わなくてはなりません。そして機械ありきではなく、お客様ありき、従業員ありきの考え方で進めることが重要です。
マーケットを見据えながら、お客様の求めるスピードや品質、納品形態にあわせて流れるように作業が進んでゆくノンストップのワークフロー、企画から納品まですべてをPush to Stopにする必要があるのです。当社にとってPush to Stopとは、顧客の企業活動の一部となって同じスピードで走り続けるために必要不可欠な考え方なのです」
業態変革によって印刷物の売上げ割合が半分近くにまで減ってきたとはいえ、3本柱のひとつである「教育関連」分野は印刷物の受注が大半を占めています。
文字組版を得意としてきた同社の本流ビジネスで、今でも多くの顧客を抱えています。ただ価格競争に巻き込まれることも多く、このままでは顧客満足度(CS)だけではなく、社員満足度(ES)の低下も招きかねないと岡本社長は話しています。
「今ある印刷設備をあと10年、15年使い続けるという選択肢もありましたが、それでは営業マンのモチベーションが下がってしまいます。CS、ESを考えると新しいオフセット印刷機が必要なのではと思い悩んでいました。背中を押してくれたのはハイデルベルグ・ジャパンの水野社長の『御社の場合、既存の印刷機4台を1台に集約することが可能ではないか』といった提案でした。異次元の生産性を実現するPush to Stopというコンセプトにも感銘を受け、導入を決断しました」
こうして2018年5月、同社は既存の菊全判2色機3台と菊半裁判4色機1台を出して、ハイデルベルグの菊全寸のび判4色両面兼用機スピードマスターXL106-4-Pを導入しました。
これにより同社のオフセット印刷部門には新旧2台の菊全判機が並ぶこととなり、また本社とCOMセンターに分かれていた印刷設備を1ヵ所に集約することができました。
4台の印刷機があった本社1階フロアがすべて空き、新たな活用が可能になりました。導入からまだ5カ月ほどですが、XL106の生産性は圧倒的だと岡本社長は高く評価しています。旧型機と比べると生産性は2倍から3倍と飛躍的に伸び、前準備時間も驚くほど短くなりました。
平均ロット2,000枚でわずか100枚の印刷ジョブも頻繁にある多品種小ロットの同社にとって、XL106は最高の印刷機となりました。担当オペレータのモチベーション向上の効果も大きいと岡本社長は指摘します。
旧印刷機のオペレータは、オンデマンド印刷部門や物流部門への配置転換でESの低下を防ぎ、内製化率の向上にも貢献しています。今後は2交代14時間稼働で従来比20%のコストダウンが目標です。今までよりプラス20%の余力があれば、価格だけでなくお客様の様々なニーズに柔軟に対応できるだろうと考えています。
お客様のスピードと品質、納品形態にあわせて企画から納品まですべてをPush to Stopにする同社のノンストップサービスはすでに現実となっています。