“ものづくりの聖地“と言われる新潟県三条市に本社をかまえ、初夏には社屋周辺が美しく稲穂の緑にも染まる1970 年創業の印刷会社、富士印刷株式会社。どこにでもありそうな地方の小さな印刷会社から、成長していくお客様のニーズにスピーディに対応するために自社にない強みを持った新潟に本社を持つ印刷会社をM&A するなど、さまざまな取り組みで自身も成長を続けてきました。
現在は、売上の6割を占めるパッケージ印刷を中心に、シール等を含む商業印刷まで、幅広い仕事をこなす総合印刷会社として、105名の従業員が活躍する場となっています。すべての工程を自社で対応する社内一貫生産体制(ワンストップサービス)を会社の強みとし、きめ細かなフォローと無駄を省いたスピーディな対応で顧客の要望に応え、主に地元燕三条からの仕事を中心に、売上の約6割は県外からも受注して幅広くビジネスを展開しています。
代表取締役社長 星野里美氏は、「お客様が、デザイン、印刷、加工、発送等、工程ごとに発注をすれば、手間も時間もかかります。私たちは、そんなお客様の手間や時間を取り除いて便利に使ってもらえる会社、つまり“ワンストップショッピングで使い勝手のいい会社”になりたいと思っています。また、特にパッケージの形状やデザインにはこだわりがあり、お客様の商品を少しでも引き立てるために、企画やデザインは組織を強化し力を入れています。」と、自社の特徴について語ります。
さらにパッケージ印刷ビジネスへの思いについて、星野社長は熱く続けます。「昔から現在までパッケージ印刷以外にもさまざまなお仕事をやらせて頂いていますが、私はパッケージ印刷をずっとやりたいと思ってきました。そしてこれからも、紙のパッケージというモノづくりには、こだわっていきたいと思っています。多くの印刷会社がマルチメディアの時代に対応するために、ネットでのコミュニケーションを中心に印刷メディア以外にもビジネスを広げていらっしゃると思いますが、弊社はあくまでも紙のパッケージという“モノ” づくりにこだわっていきたいと思っています。さらには、商品企画やイベントなどのコンセプトを理解してデザインしたり、提案したりしていきたい。そんな形で紙のパッケージのモノづくりに深くかかわりながら、これからもビジネスを展開していければと考えています。」
こうしたビジョンをもつ富士印刷が、2018年10月に導入したのが、スピードマスターCD102ドライスターLE UVの5色機。当時、全判の他社製印刷機4台を使用していたにもかかわらず、ハイデルベルグ機の導入に踏み切った理由について星野社長は、「何しろ厚紙をちゃんと刷りたかった。安定して高い品質で刷りたかった。なぜなら、うちは台紙などもやるので非常に機械を酷使して使うし、厚紙を2回通しすることもしばしばあるからです。一度通して反ってしまった紙なども安定して刷れる印刷機が必要だったんです。それに営業を通して聞こえてくるハイデルさんの評判も非常によかった。
そこで検討を重ねて、導入前にその時ハイデルさんの東京ショールームにあったフィーダとデリバリはCD102と同じというXL106でテストを行いました。実際に一度通して反ってしまった紙を持ち込こんでテストしたのですが、それはとても衝撃的な結果でした。なぜなら、今まで苦労して8,000回転でやっと印刷していたものが、テストの時には17,000回転で、簡単に、しかも音も静かで全く問題なく印刷できたからです。何か拍子抜けしてしまったのを覚えています。」と、当時の導入前のテストの様子を振り返りました。
「導入してもうすぐ3年ですが、現在もスピードマスターCD102は、基本的に常時最高速度の15,000回転で当たり前に回しています。メインのオペレータは男性ですが、彼は工場全体も見ているので、サポートについている女性がひとりで回すことも多いです。自動化がとても進んでいる機械なので、熟練工でなくても回せ、操作もとても簡単で使い易いと聞いています。また、この少ロット時代にとてもいいなと私が感じているのは、仕事替えが早く、時間が大幅に短縮できること。社員も私も、スピードマスターCD102の生産性、品質には、ともに大変満足しています。」