東京都新宿区に本社を構える株式会社共栄メディアは、商業印刷、POP、パッケージ印刷をビジネスの主軸とし、さらにはデジタルコンテンツ開発、デジタルサイネージ、ノベルティ、Tシャツプリント事業など、セールスプロモーション領域のニーズに幅広く対応する広告会社です。その歴史は1978年に創立した製版会社の共栄プロセス株式会社に始まり、モノクロ製版からカラー製版に移行した後、1989年に色校正事業として設立された株式会社共栄校正と合併することによって、1998年に共栄メディアが誕生しました。
「それまで製版、校正という言葉が入った社名であったため、こちらが望んでも製版から印刷、加工、さらにはクライアントのマーケティングサポートといった幅広い範囲で仕事をいただくことができませんでした。それを打開するため合併を期に、様々な媒体(メディア)にフレキシブルに展開できる会社という意味を込めて、共栄メディアという社名に変更しました。」と代表取締役社長の錦山慎太郎氏は話します。
会社が合併し、名称が変わったことをきっかけとして狙いどおり業務内容にも変化が生まれました。それまでは印刷会社の下請け仕事が中心でしたが、電気製品や食品、車関連メーカーなどの一般企業や広告代理店、学校などから、企画から始まり、デザイン、印刷物、さらに印刷物以外の販促物など幅広い受注が増えていきました。
「合併前はポスターやカタログなどの商業印刷をメインに生産していましたが、徐々に競合争いや価格競争が激化していきました。その一方、時期を同じくして厚紙の仕事が増えて来たこともあり、厚紙の印刷・加工のノウハウを持っていたパートナー会社をM&Aすることによって、現在の生産体制を築いていきました」と錦山社長は話します。
M&Aの時点で稼働していた印刷機は、導入から20年以上が経過していることから老朽化が進行しており、思うような品質が得られないことも多く、全量検品が必要になるなど効率が悪かったため設備投資を検討しました。厚紙の仕事が増え、後加工が絡むものも多かったこと、さらには現在受注の中心を占めているPOP、什器関係に加えて、先々には製品を納める箱・パッケージの受注強化を視野に入れていることからも、次期設備は厚紙の印刷に強く、後加工へすぐに仕事が回せるUV印刷機にしようと当初から決めていました。設備の選定時を振り返り、錦山社長は次のように語っています。
「今後の成長を見据えた設備投資でしたので、慎重な比較検討をするために色々なメーカーの設備を見させていただきました。その中でスピードマスターCD102に決めたのは、様々な印刷をする際にも用紙搬送が安定していて、オペレーションしているスタッフ達が「使いやすい」と評価したことが最大の理由です。さらには検討時に工場を見せていただいたユーザー企業の方々からの評価が高かったことも一因となりました」。
こうした検討を経て、もともと工場で稼働していた4色機と6色機を出し、ニスコーターとLE UVを搭載した菊全判6色印刷機のスピードマスターCD102が導入されました。導入後、印刷機は順調に稼働し、近年厳しさが増している品質面や短納期の要求にも対応できるようになりました。いち早くスタートしていた印刷の標準化も功を奏し、前準備においても100枚程度でOKシートが出せ、さらには乾燥待ちがなくなったことにより時間も大幅に削減できています。同時に工場内のスペースが有効活用できることから、以前に比べ効率的に業務を進めやすくなりました。
また、M&Aにより異なる会社がひとつになったため、製造部門の一部では、定期メンテナンスを行う決まりや習慣がないようなこともあった同社ですが、設備導入をきっかけにそうしたメンテナンスについてのルールも統一しました。SPセンター 生産部 戸田工場 工場長を務める松本茂樹氏は話します。「以前は仕事に忙殺され、なかなか時間が取れませんでしたが、結局はツケが回ってくることになります。特に今回はUV印刷機ということもあり、メンテナンス不足によるローラートラブルなどの様々な事例も聞いていますので、一定の稼働日数を基準としてスケジュールを組んだ上で、定期的なメンテナンスを行っています」。
現在ではセールスプロモーション分野の仕事が全体の約7割を占め、事業の柱となっている同社ですが、今後はパッケージ分野の強化によるさらなる成長を目指しています。
「現在のところ、POPや什器の印刷が最も多くなっていますが、時代が進みコミュニケーションや販売手法が変化する中においては、物品の販売形式にも大きな変化が生じ、POPなど店頭展示用のアイテムは減少する可能性があると見ています。その点、製品そのものを納める箱・パッケージは販売形式による影響を受けにくく、クライアントの皆さまもさらなる差別化のために今後も力を入れていく分野だと思うので、さらに強化しボリュームを増やしていきたいと考えています」と今後の展望について錦山社長は語ります。
同社はまた、今後より規模が拡大していくデジタル化の時代において、その変化にいかに対応していくかに関心を寄せています。同社の強みであるデータ制作を中心に置き、その時々の需要に合わせてデジタルコンテンツとして配信していく、または印刷メディアとして展開していくなど、都度最適なメディアを使い分け、組み合わせることで現在にはない市場を創造し、事業のさらなる強化を目指しています。
株式会社共栄メディア
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