有限会社希昌紙工は、平成6 年4 月に静岡県磐田市で創業。創業者の大橋会長は創業前、浜松にある印刷会社の製本課に勤務。ハイデルベルグのサービスマンと40 数年前に出会い、小物折りの折り機T36 があることを知る。印刷会社を退社後、同市の製本会社に勤めるようになり数年を過ごす中で、将来自分が手掛けていきたい事が明確になり独立を考えるようになる。独立に際してはハイデルベルグのサポートもあったが、身内は必ずしも賛成ではなかった。しかしこれまでの経験で培った自分自身の信念や技術力を信じて開業にいたった。開業に際しては、ポーラー断裁機P115+ ジョガー、スタールフォルダーT36、KC66 を設備しスタート。仕事もそれなりにあったので順調な船出となり、少しずつ設備投資も進めていくようになる。開業から12 年後の平成18 年には、茶畑に囲まれた現在の場所に本社工場を移転拡大し、さらにお客様に満足いただけるよう邁進することとなる。移転とともに旧式のT36 を処分しようと考えたが、自分の思い通りに仕事をするこの魅力ある機械は残すことなる。27 年目になる現在でもそのT36 は活躍しており、この機械だけは手放せないという。現在同社は、スタールフォルダー36 サイズの折り機を国内で最大保有する企業となりました。
「希昌紙工さんなら丁寧に仕事をしてくれる。ありがたいことにそのように言われるようになりました。」と大橋会長は言います。起業当時の仕事としては、製本のページ物、折り上げ、A4 の巻3 つ折り、A3 の2 つ折り、パンチング後の折りなどが中心であった。人手も設備も十分でない中、頼まれた仕事を断らないために、受注した仕事はすぐにこなすという努力を重ねた結果、希昌紙工にもって行けば急ぎ仕事も必ず受け入れてくれると評判になる。同社では予定の仕上がり時間30 分前という納期で予定組みし、お客様との約束を第一にすることで現在の信用を築いてきた。そのために、基本的なことだが工場内の整理整頓をはじめ、機械清掃、メンテナンスを欠かせないと2 代目となる大橋社長も会長の意思を引き継いでいる。さらに大橋会長は「うまくいかないのを機械のせいにしない。使う側の気持ちを機械がくみ取る。特に長年使用しているKC66 とT36 は自分に訴えてくる。ここを見てくれ!と…。何故うまくいかないのかを追求し、機械に対する感謝の気持ちを持つと、仕事がうまく進む。自分自身で仕事を始めて27 年その気持ちが強くなった。」と愛情を持って語ります。
「アパレル業界のような流行り廃りではないが、トレンドが1 サイクル回ったという印象を受ける。」と大橋社長は言います。印刷市場で言えば、少し前まではUV 印刷の仕事が増えていたが、最近の傾向としては油性に戻ってきており、納期も延びてきたという。後加工にとってはトラブルが減り良い方向ではあるという。しかしながらネット社会、スマートフォンの普及により、同社が得意とする小物折り市場においてはポイントカード系の仕事が大幅に減少し、市場は徐々にシュリンクしてきている。しかし、同社はこのような環境においても、創業当初から他ではできないもので差別化を図り、勝ち残るということを目指すために培ってきた技術力とノウハウが、コロナ禍においても希昌紙工を支える基盤となっている。
スタールフォルダーTi36 導入のメリットについて大橋会長は次のように続けています。「少子高齢化、人材不足、働き方改革などを考慮すれば、自動化された折り機の導入により効率化を図ることが世の中の流れではあるが、折り加工で差別化を図り、勝ち残るためには、他の部分で勝負することをつねに目指している。それを実現する機械が必要である。」同社が得意とする特殊性の高いマニュアル、能書、菓子折り添付資料などの小物折りは依然としてニーズが高く、利益率も他に比べて高い。Ti36 は用紙寸法が小さく、難しい用紙でも安定した給紙が行え、また女性パートさんも容易に取り扱えることから人材不足・人件費削減による問題も解消できるという。特殊な小物折り加工でもつねに安定して生産するという考え方は、同社の徹底した考え方です。
スタールフォルダーTi36 の導入は、アナログの世界で勝負する同社の戦略にマッチし、他ではできないニッチな市場への参入をつねに視野に入れたビジネスモデル構築ができ、高付加価値が求められる市場に対応することができると言います。大橋会長は「機械の自動化も限界があるであろう。それ以上のものを我々はお客様へ提供することが理想である。アナログでも手をかけてやることが一番良いと考えている。自分達の手で触って日々苦労しながらやることが紙工というものの面白さであり、大切にしたい点でもある。簡単な加工ばかりではないが、仕事の幅は狭めたくない。スタールフォルダーTi36 は自分たちの目指すことを実現する機械である。“感性” を大切にしてお客様の要望に応えることが、当社が勝ち残る唯一の手段であると考えている。」と述べ、2 代目の大橋社長は「働いている人が楽しく、やりがいをもって働ける環境づくりと、毎日創意工夫して臨む姿勢がお客様からも評価される。」と最後に締めくくります。
現在Ti36、T36 を6 台所有している同社では、小物折りのエキスパートとして、お客様の要望であれば最小用紙寸法以下にも対応出来るよう日々努力・研究されています。スタールフォルダーTi36 は製本加工のプロから選ばれる機械のひとつです。
有限会社希昌紙工
本社工場:〒438-0803 静岡県磐田市富丘620-1
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