『B1デジタルの夢』、さらには印刷紙器事業全体の飛躍はPush to Stopで実現できると確信
「パッケージで世の中のハピネスを生み出す」というビジョンを掲げ、1900年の創業以来、「伝える・守る・まとめる」というパッケージの機能を追求し、顧客の縁の下の力持ちになり続けることを目指している兵庫県神戸市中央区に本社を置く株式会社共進ペイパー&パッケージ。ペイパー、プリンティング、パッケージを切り口に、印刷・紙器、段ボールを中心として、紙に関わるサービスをトータルに捉え、企画開発から商品を納品するまでの顧客の課題解決を最優先に、その技術と組織の革新に積極的に取り組み進化し続けています。製造拠点は、日本全国に安定した品質の製品を届けることを可能とするため、関東工場、加古川工場、甲子園工場、中京工場、高山工場と、日本国内東西に5工場を構えています。また、グローバル企業を目指し、2003年にはタイにSMILE KYOSHIN PROPRINT CO,.LTD.を、2006年にはK&K PACKAE(THAILAND)CO.,LTD.を設立し、日本と同等品質を現地価格で提供することを実現し、海外進出も果たしています。
そんな同社が、オフセット印刷のサービスに対して手の届かなかった極小ロットをカバーするため、「ほしいものを、ほしいときに、ほしい量だけ、ほしい価格で」をコンセプトにデジタルテクノロジーで解決するとして2013年に立ち上げたのが「ハコプレ事業」。いわゆるネットで小ロットの仕事を大量に集め、デジタル印刷で製造していくというパッケージの印刷通販事業です。そして、2019年には、そのハコプレ事業で『B1デジタルの夢』を実現すべく、日本で一台目となるハイデルベルグのB1デジタル印刷機「プライムファイア106」を、関東工場に導入しました。「極小ロットを同じ仕様で、まとめてつくる大判ポスターバリアブル印刷と、商業印刷では500枚、板紙印刷では1000枚を分岐点として、それより小さいロットのパッケージ、紙袋、什器を集めきることでお客様に価値を提供するためでした。」と、鍛治川社長は、当時導入した理由を述べています。更に、「オフセット印刷のサービスに対して手の届かなかった極小ロットをデジタルサービスのハコプレサービスでカバーしていくところからスタートして、デジタル印刷機の発展とともに、JetPress(B2デジタル印刷機)でその領域を広げ、さらにその広がった領域をプライムファイアで広げていくつもりでした。」と、思い描いていた戦略について語りました。
しかし、2020年3月、ハイデルベルグからプライムファイアの生産が中止されるという発表がありました。既存ユーザーについては、サポートを継続するということも同時に発表されてはいましたが、当時鍛治川社長は、驚きとともに次のような期待をもったと言います。「一つ目が、B1デジタル機を唯一もっている会社としてサポート継続によるオンリーワンになるという期待。二つ目は、コロナ拡大の時期だったので収束時の開発再開への期待。三つ目が、万が一ハイデルベルグが開発を継続しないとしてもB1デジタル技術をもつメーカーに売却し、我々は引き続きデジタル印刷機を発展させていくことができるという期待。」の3つです。また、一方で最悪のケースも想定し、同時に代替策、他メーカー等についても模索してきたそうです。
しかし、鍛治川社長は2021年、プライムファイア106をオフセット印刷機であるスピードマスターXL106を中心としたオフセット印刷システムに入れ替えること、そしてデジタルに優位性がある200枚以下のジョブをカバーするためにフラットベッドのデジタル印刷機を2台導入することを決断しました。その理由について、「同じ用紙、基準値の印刷という前提条件はありますが、プリネクトにつながったスピードマスターXL106によって、150枚のジョブを1時間に24ジョブ印刷するというテストを見て、大きな衝撃を受けました。これは計算をすると、3600枚(24x150)の印刷物が24種類1時間以内に出来上がったことになります。現行のデジタル印刷機をもってしても様々な制約を考えると、これは実現できない数字です。小ロット多品種において、オフセット印刷機がここまで効率化されているということを改めて知りました。私は、これを他の方の言葉を借りて「オフセット印刷の逆襲」と呼んでいるのですが、現段階でオフセット印刷機の効率化が逆にデジタルの市場を侵食し始めていると判断しました。我々の試算によるとB1サイズにおいてはオフセット印刷機とデジタル印刷機の分岐点は200枚まで減少しています。これが意味するところは、200枚以上はオフセット印刷機でやった方が効率良く、コストが安く、デジタル印刷機の小ロットでの強みは200枚以下に限られるということです。」と、具体的な数字を挙げて決断の理由について述べています。
さらに、今回の2つの導入目的のひとつとして、「今ウェブで受けているパッケージの注文でも200枚以下というのはほとんどありません。パッケージのスイートスポットであるロットについては、すべてXL106でカバーできます。つまり、お客様のプロダクトライフサイクルに合わせた最適生産で、成長期、成熟期、衰退期に合わせた最適なコストを提案できるメーカーになることが一つ目の活用法です。さらに、紙袋市場は、SDGsや環境対策の流れで紙袋の使用が非常に注目を集めており、市場が大きくなっていると考えています。使う用紙の大きい紙袋は、B1サイズのデジタル印刷機、ないしは、オフセット印刷機が必要で、それらを効率的に生産できるXL106が更にこの紙袋市場を広げていくと確信しています。これらは、ハコプレ紙袋のサービスを通じて市場を広げていくつもりです。また、3台か4台に分かれるのが普通の什器市場では、1時間最大24ジョブをこなすことができる段取り替えの速さを、またフラットベッドの印刷機を活用してバリアブルのポスター、大判のポスターを獲得していきます。」と、各市場セグメントでの展望を明らかにしています。
2つめの導入目的“スピードマスターXL106による新ビジネスの創造”については、「一つ目は、AIでコントロールされた本機校正をそのまま本生産につなげる体制を構築し、生産効率を上げるだけでなく、お客様とのコンセンサスや関係性を強めていくこと。二つ目は、7色マルチカラーによる脱特色パッケージ製造を実現し、特色を多く使うパッケージの生産性を劇的に改善するという挑戦です。三つ目は、それらを活用した新しいウェブサービスを創造するということです。本機校正・本生産を売りにしたImprenta (インプレンタ) という厚紙の印刷通販サービスの22年春にはスタートする予定です。」と、さらなる同社の印刷紙器事業全体の飛躍をゴールとしていました。
最後に、「B1デジタルの夢は、今回導入したPush to Stopテクノロジーで継続していきます。ハコプレ事業20億円に向けたラストピースとしての役割を引き継ぐということです。更に、新たにこのオフセット印刷機によってハコプレ事業だけでなく我々の印刷紙器事業もさらに飛躍させる挑戦をしていきたいと思っています。」と締めくくりました。
株式会社共進ペイパー&パッケージ
本社所在地: 神戸市中央区元町通6-1-6 共進ビル
関東工場: 千葉市花見川区犢橋町1616 (XL106導入工場)