世界で唯一の 「嵩下げ」仕様のスピードマスター。世界でも前例のない装置であったため、開発にあたってはハイデルベルグ本社と安全性や 運用面を含めて綿密な協議が行われました。

一貫生産のパッケージ総合プロデューサー

河原紙器株式会社は1941年の創立以来、愛知県春日井市を拠点に紙器・パッケージ製造の一貫体制を強みに発展してきました。企画・開発から印刷、打ち抜き、貼り加工、出荷まで全工程を自社およびグループ内で完結でき、高品質な製品を短納期で提供できる点が大きな特徴です。食品・菓子・ギフトをはじめ、薬品・化粧品、家電・日用品向けなど幅広い分野のパッケージを展開しています。

社内にデザイン・設計部門を備えていることから、機能性とデザイン性を両立した提案力が高く評価されています。また、約210㎡のショールームには約1500点の製品・サンプルが展示され、同社の技術力を直接体感することができます。さらに河原紙器は、革新的な技術を取り入れたトリミングマシンの開発・販売にも注力しており、海外33か国で実績を持つほか、日本国内の紙器業界において圧倒的な導入数を誇ります。工場ではTXR-1100を3台、TXR-800を1台稼働させ、従来の重労働を大幅に軽減。女性の活躍推進や人手不足の解消にも寄与しています。ハイデルベルグとも連携し、自動ポストプレスシステム「カワハラTXS-1100」「カワハラBMS-1100」の世界的販売契約を締結するなど、技術発信を強化しています。

20年続く強固なパートナーシップ

初めてハイデルベルグを導入してから20年――その信頼関係は揺るぎないものとなっています。現在、春日井市の本社工場では、ハイデルベルグ製3台を含む計5台の印刷機が稼働中です。河原紙器がハイデルベルグ印刷機を初めて採用したのは2004年のこと。20年を経た今、「昔からの付き合いに本当に感謝しています。」と、取締役製造本部長の市岡氏は語ります。2004年にスピードマスターCD102の1号機を導入し、続いて2008年には2号機を導入しました。「“印刷といえばハイデルベルグ”という思いがずっとあり、いつか導入したいと考えていました。」と、製造本部課長の明神氏も当時を振り返ります。近年は印刷機に限らず設備投資を積極的に進めており、ハイデルベルグ機導入から20年を迎えた今も、社内の変革に継続して取り組んでいます。

熱意が生んだ世界に一台の「嵩下げ」スピードマスター

河原紙器は2台のスピードマスター導入を経て、既設の2色機を置き換える形で、2025年にスピードマスターCX104-5-LXを新たに導入しました。同社の工場は限られたスペースを最大限に活用しており、5台の印刷機が効率よく配置されています。6色機も検討候補に挙がりましたが、最終的には設置スペースを考慮して5色機の導入を決断しました。2色機から5色機への更新は、同社にとって大きな設備刷新となりました。

今回導入したスピードマスターCX104は、世界で唯一の「嵩下げ」仕様です。世界でも前例のない装置であったため、開発にあたってはハイデルベルグ本社と安全性や運用面を含めて綿密な協議が行われました。ここで力を発揮したのが、20年にわたり築かれてきた両社のパートナーシップです。河原紙器の強い要望を受け、フィーダのみを嵩下げする特注仕様が約2年かけて実現しました。ロングラン生産では120cm高のスキットを積む必要があるため、この「嵩下げフィーダ」は同社にとって極めて重要なソリューションとなっています。

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CX104導入が働き方改革を加速

スピードマスターCX104の導入には、同社が数年前から構想していた「働き方改革」が背景にありました。「物価高や運送料金の上昇に加え、新型コロナによる仕事量の減少もあり、夜勤を廃止したいという思いがありました。転換のきっかけを探していました。」と明神氏は振り返ります。同社は勤務体制を再検討し、従来の昼4台・夜2台の稼働から、昼間5台のみでも生産能力を確保できるとの試算を得たことで、夜勤廃止を決断しました。「電気代や防犯面の負担軽減に加え、採用にも良い影響があります。若い世代はワークライフバランスを重視し、夜勤のある職場は敬遠されがちです。」と市岡本部長は期待を語ります。現在CX104は、薬品・化粧品など高品質を要求される仕事を中心に稼働しています。インライン品質管理装置「インプレスコントロール3」により品質を数値で管理できるため、若いオペレータの心理的・肉体的負担が軽減され、現場のモチベーション向上にもつながっています。一方で、パッケージ印刷はデザインや用紙、抜き型がジョブごとに異なるため、インプレスコントロール3を完全に活用するには改版タイミングの慎重な調整が必要です。用紙代の高騰が続く中、とくに高価なパッケージ用紙では、色合わせ時のヤレを最小限に抑える取り組みが今後の重要テーマとなっています。

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今後の展望について、市岡本部長は次のように語ります。「根幹システムが古くなっており、今後はその見直しを検討していきたいと考えています。また、工程管理についてもまだ十分に“見える化”ができていないため、全体最適の観点から改善が必要だと思います。手作業の自動化やロボット化をどのように進め、人手不足を補いながら省力化を実現していくかが重要なテーマになっていきます。」さらに同社では、工場内の動線効率化にも取り組もうとしています。現在は別棟に設置しているCtPを印刷工場内へ移設するプロジェクトが進行しており、生産フロー全体の最適化を見据えた改善が進んでいます。こうした新たな取り組みは、今後さらに広がり、同社の生産体制をより強固なものへと進化させていく見込みです。

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河原紙器株式会社

本社・工場
〒486-0805 愛知県春日井市岩野町4208番地

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